売りのプロを目指す店長講座


3.プロ販売員を育てる店長心得
店長は売りの達人を目指す
店を繁盛させるには店長自ら販売のプロでなければなりません。部下に「売れ」「頑張れ」と号令を掛けても、店長が先頭にたって売らなければ部下は動きません。一般的に販売員1人当たり年間売上高は2,500万円が平均値ですから、店長は最低でもその金額の2倍以上は売上げたいものです。

販売員の販売技術レベルと年間売上高の関係は
販売技術レベル 年間売上高
何も知らない。店で何も教えていない ~1,500万円
接客の基本は知っている 2,000万円
+ヤル気がある 2,500万円
+ファッション知識が豊富 3,000万円
+フィッティング知識が豊富 4000万円
+固定客を100人持っている 5,000万円
+固定客を300人持っている 7000万円
+固定客のスタイリストを務められる 8000万円
+固定客のライフスタイルプロデューサーを務められる

固定客とはお得意様の名簿が整備されていて、お得意様の顔とお名前が一致する人数を言います。ただ固定客は多い方が良いとは言えません。300人を超えるとお得意様とのコミュニケーションが粗雑になって、感激を与えるサービスが薄れる恐れがあります。固定客は300人が限界と考えられのは、店長だった私の経験値ですが、それ以上固定客を持っている「販売の神様」が居られるかも知れません。

スタイリストとはお客様にふさわしい靴だけでなく、ウエア・バッグ・アクセサリー・ヘア・メイクまでのトータル・ファッションを提案出来るクリエイターを指し、ライフスタイルプロデューサーとは、お客様へ新しいライフスタイルの提案が出来るプロの人のことです。例えばトラッド好きのお客様をロマンティックに変身させたり、引っ込み思案のお客様を、アウトドアライフの素晴らしさを体験させて「アウトドア大好き人間」に変える力を持つ、プロフェッショナル人間を言います。

このように考えると販売の仕事はとても奥の深い仕事と言えます。あなたと、あなたの部下はどの販売技術レベルにありますか?。人の能力は無限大ですから年間売上高にも限界はありません。何処まで自分と部下の能力を伸ばせるか、何処まで売上げを伸ばせるか、ワクワクし・ドキドキしながら売場に立って挑戦を続けましよう。


販売のプロはこのように育てる
販売のプロを育てるには教育に始まって教育に終わるほど「教育」が大切です。しかし教育は共育と考えなければ効果は上げられません。上司は教える過程で部下から学ぶ面が多いので「共育」なのです。「教える」ことは教える立場の人が、教える内容を完全に把握しないと教えられませんから、教える人の方が勉強になるのです。

テキストはこのホームページをプリントして店長・販売員一緒に勉強しましょう。1通り終わったら前に戻って繰り返し復習して下さい。この他のテキストとして初級者向けに「靴販売員ハンドブック」(ジャスミック社1,575円)、中級者向けに「靴の商品知識」(Fワーク社2,500円)、上級者向けに「販売士業種別テキスト・靴小売業」(日本商工会議所1,050円)がお勧めです。

勉強は毎朝の朝礼時に15分位、テーマを決めて皆で読み合わせます。読み終わったら「まとめ」を店長が解説すれば皆が良く頭に入るでしよう。ただ勉強は知識を詰め込むだけですから、智恵に変えなければ実践に役立ちません。それがロールプレイング(役割演技法)です。店長やベテラン社員がお客様役を演じ、新人が販売員役になって実際に接客劇を演じるのです。これは実力が付きますから是非実施して下さい。


部下に売上高目標を与える
目標が無ければ達成しようとする意欲は起きません。毎朝の朝礼時に店長を含めて、各人別の売上高目標を発表させます。新人は目標の立て方が分かりませんから、店長が「○○さんの今日の売上高目標は○○円」指示しましょう。始の内は達成容易な低い目標を与え、大げさに褒め称えてその気にさせるのが、ヤル気を出させるコツです。

売上げ目標はノルマと違います。ノルマは上から与えられるもので、目標は自分が立てるものです。目標は記録を更新するために立てるのですから、これが無ければ記録は伸ばせません。目標は自分の能力の無限性を挑戦するために立てるのです。目標は年間、月間、週間、日、時間別に設定します。細かく設定しませんと記録は達成しないものです。陸上や水泳選手はラップタイム(途中計時)を決めて走るでしょう。それと同じなのです。

新人は自分で決められませんから店長が立てます。「○○さんは今年の売上高目標は2,500万円、それを達成するために今月は200万円、今日の日曜日の目標は15万円、15万円を達成するための売上げペースは、12時に3万円、3時に8万円、6時に12万円のペースですよ」と教えます。これでは息が詰まると考えさせるか、無限の能力を引き出すためと思わせるかによって、部下の能力に格段の差が付くのです。


個人売上高を無限に高める商品単価と客単価
販売員の年間売上高を決めるものは、販売技術と固定客化にあると申し上げましたが、
販売技術面では商品単価と客単価アップに掛かっています。靴専門店の商品単価は高くても30,000円低い店では3,000円ですから、販売員の年間売上高は6,000万円~2,000万円程度に納まるのが通常です。これをもっと引き上げ上げるには商品平均単価と客単価を上げなければなりません。

商品平均単価アップは靴でしたらインポート靴中心へ、また靴の関連商品であるバッグを扱えば商品単価は10万円を越えるでしよう。バックでもヴィンテージ物でしたら、数十万円~数百万円の商品もあります。客単価を上げるには、コーディネイト知識、スタイリスト知識、プロデュース知識を駆使して、靴だけでなく関連するウエア、バッグ、アクセサリーのトータル販売を勧めます。そうすれば客単価を数十万円、数百万円に上げるのも夢ではありません。

世の中には想像もつかない豊かな人が沢山居られます。豪華客船でクルージングを楽しむ方は、4トン積みのトラックでウエアと靴を船に積み込み、毎日服と靴を変えてパーティに臨みます。豊かなお客様はブティックや高級百貨店の外商を自宅に呼びつけて買い物をするから、めったに店へ来られませんが、それでもごくたまにですが店へ来られる場合もあります。

平日のヒマな日に丁寧な接客を心掛けていると、豊かなお客様と巡り合えることがあります。それを心掛けていた私の甥は、新人販売員時代に売場でアラブの貴族に巡りあいました。現在は某百貨店の外商を勤めていますが、彼の客単価は4,000万円、年間売上高は20億円、年収は1億8,000万円です。それでも外商部には彼を上回る販売員がいるそうです。

豊かさは創造力を高める上にとても大切なこと。創造力があれば楽しい商人人生が送れます。貧しさは創造力を失わせ、根性と忍耐の世界に向かわせます。業績不振が続くと長時間営業、無休営業・元日営業に走る。売上げ不振に見舞われるとディスカウント路線を取るのは、貧しい発想と考えざるを得ません。

売上げを創造する方法は幾らでもあります。それには創造力の豊かな人をお客様にすることです。創造力はお金とヒマを沢山持っている人によって生まれます。バブル崩壊は日本にとって不幸な出来事でしたが、反面、お金持ちとヒマを持て余す豊かな人々を生みました、これからは日々研鑚を重ねて、豊かなお客様を感激させる接客を心掛けましよう。店長の中に社長の年収を超える人も出て来るかも知れませんよ。
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