水飼 茂の経営提言 (2016年7月14日掲載)


営業力を極める強化バイブル


Ⅰ これからライフスタイルが激変

(1)産業革命が起こす生活変化の変化
工業革命により機械が発明され、人類は筋肉労働から解放されました。モノの大量生産を可能にして、大量生産は大量販売革命を起こしました。チェーンストアやショッピングセンターが登場させ、個人商店と自然発生的な商店街を衰退させたのです。更に大量販売は大量消費革命を生み、家庭内在庫は家具・家電・身の回り品で満杯です。ゴミ屋敷が話題を呼ぶようになりました。

次に現れたコンピュータと通信によるIT(高度情報)革命は、人類を頭脳労働から開放し、製造・流通・消費の無駄を極限に省く、超効率革命を起こしました。何処で素材を調達して、何処で生産したら無駄を省けるか、どのように売れば安く売れるかを進め、価格破壊を激しく進めました。モノの価格破壊はモノを売るための土地の価格を誘発下げさせて、モノと土地は持つほど資産価値を下げる時代が来ました。

更に近年AI(人工知能)革命が話題になっています。人の脳と同じ神経回路を持つコンピュータ・ロボットが、自ら学習する深層学習(ディープラーニング)によって、人と同じ仕事をさせようとする革命です。将来人類は殆どの仕事から解放され、自由に生きる時代が来ます。ITが物価・地価をゼロに近付けAIが知価さえ無くす、想像も付かない時代が到来するのです。

(2)凄まじいダウンサイジング現象を起こす
 モノ・トチ・チエ価格の消失は、先ずモノ業態を直撃します。既にアパレル市場はバブル時の半減まで小さくなり、中でもレディス衣料の市場規模は、4分の1までに縮小しました。ユニクロ、しまむら型低価格衣料の出現と、ネット衣料の拡大が拍車を掛けています。服はまともな価格で購入する消費者はいない状態です。

ITとAIは、ファッショントレンドにエフォートレス(気張らない)、ライフスタイルトレンドにノームコア(究極のシンプル)が浮上させました。若者たちにモノ離れ症候群を、お年寄りにモノを捨てる断捨離症候群を増やし続けています。エコなシンプルライフ意識を高め、少ないモノ・カネで上手に暮らす賢い生活者の出現です。もう一方通行型の消費社会は地球環境破壊を進め、人類は生存困難に状況に追い込まれたからです。人類はエゴからエコへの転換が迫られています。

(3)リ&シェアライフの拡大
ファッション衣料だけでなく家具・家電・住宅に至るまで、エコな暮らしはグローバル・スタンダート化するでしょう。あらゆる産業で求められるのは、リ・フォーム、リ・モデル、リ・メイク、リ・サイクル、リ・ペアなどのリ産業と、カー・シェア、シェア・ハウス、シェア・プロダクト、シェア・ファームなどのシェアライブの拡大です。若者たちの車離れを深刻に捉えたトヨタは、カー・シェアリング業態「ラクモ」を立ち上げました。

「脱・私有」のシンプルライフの拡大は、人類にとって素晴らしい時代を到来させます。モノ・トチ・カネ・チエに縛られないストレスフリーな生活です。AI搭載のスマホ一つを持って、移住と居住を繰り返すボヘミアン・ライフを可能にするでしょう。人類発生時代、世界を旅をした汎用地球型人類の復活です。

(4)重厚長大産業の没落
ファットレンドセッターを務める若者たちから見離された、不動産・住宅・家電・車業界に未来はありません。車は7年経てば評価はゼロ、家も10年後には殆ど価値は無い、こんな価格破壊の激しい耐久消費財は、ばかばかしくて持てません。シェア意識を高めるでしょう。これから製造業は没落を始め、発展途上国のM&Aに晒されるか、リ産業やシェア産業への転換が求められます。GDPは半減どころか、金融資本主義さえ存続困難と考えます。

重厚長大産業に代わって、軽量小物雑貨産業が主役になるという信じられない構造変化が起きます。ITとAI革命がヴィジュアル社会を拡大させ、ダサい人は埋もれてしまいます。エフォートレスだって、さりげなく旬(シック)の表現が求められるのです。その主役が小物・雑貨で中でも立役者は靴です。消耗性が高く健康に欠かせないツールだからです。しかも他の産業より価格破壊が進みません。

Ⅱ IT・AI新時代の未来戦略

(1)オンリー・ワンを貫く
 何処にもある、何時である普遍的な商いは、営業コストの低いネットには敵いません。此処しかない、今しかない、わざわざ店まで足を運ばなければ買えない「憧れ」を売るのが、IT・AI新時代の売り方です。「憧れ」とは、扱い商品の希少性・ファッショントレンド性・高価格性の三つと、劇場性・高品位サービス性の二つの売り方を備えた、五つの条件を満たした業態がオンリー・ワンです。その一つ一つを長い時間を掛けて、オンリー・ワンに近付けたいものです。

(2)商品のオンリー・ワン
 ナイキやリーボックなどの大手ブランドや、リーガルやマドラスなどのナショナルブランドを売っていては、何時まで経ってもオンリー・ワンにはなれません。彼等は自力で売り切らないから他に売らせて居るだけで、価格破壊が進めばネットで直販するでしょう。現にリーガルは店でフィッティングをさせてサイズを確認、買うのはネットで2割引のショールーミングをされています。じゃあどーする。自ら商品企画してメーカーに創らせる、希少性の高い商品を売るしかありません。 

 創るのはもちろん、ファッショントレンド性の強い商品です。トレンドとは、時代の旬を表現するもので、芸能人に憧れるのは旬の人だからです。旬を外した演歌歌手と、旬真っ盛りのアイドル歌手の、観客動員数とCD販売枚数の差を見るにつけ、ファッショントレンド力はいかに集客力と集金力が強いか、如実に現しています。

 三つ目は高価格性です。IT・AI時代は物凄い格差社会を生む社会です。IT・AIに乗れない多くの方は下流へ、乗った少数の方は上流へと分かれます。下流はネットで低価格漁りをするので、リアルのお客様にはなり得ません。ショールーミング族を避けて、高価格品を求める上流階級を対象としましょう。お客様は神様ですが、貧乏神と裕福神が居られます。豊な商人を目指すなら裕福神と付き合うのが原則、「類は友を呼ぶ」例えがあるからです。

(2)売り方のオンリー・ワン
 工業時代の売り物は「モノ」でしたが、IT・AI時代は「ストーリー」です。それも幸せを売る「幸福物語」で、店舗は劇場、売場は舞台に変えるドラマタイジング(ドラマ)性が求められます。スタッフは販売員ではなく、お客様を幸せに変えるキャスト(役者)を演じなければなりません。

 接客は販売からサービスに変わります。お客様を「共感」させるファッショントレンド提案、「感動」を呼ぶコーディネイト&ライフスタイル提案、フィッティング&アジャストメントワークを駆使した高品位サービスで、お客様を「感激」させる売り方が求められます。リアルはネットのサイバー空間では成し得ない、「共感」「感動」「感激」させる、幸福ドラマを演じる場に変わるのです。



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