水飼 茂の経営提言 (2020年1月9日掲載)


流通新時代を生き抜く新たな思考・行動様式



 現在、靴小売店は年間400店のペースで減り続けています。バッグ小売店の減少率は、靴店ほどではないものの、減り続けているのは靴店同様です。原因は競合過多ではなく、IT革命による価格破壊と、これから到来するAI革命が産業破壊です。靴店は価格破壊によって、バブル時の18,771店から8,616店へ激減しました。このような未曾有な時代に靴・バッグ業界はどのように対処するか、その対策と未来を拓く方法のお話です。


Ⅰ流通変革期のメガトレンド
1 飽和するモノ、枯渇する安心
 人類は物質的な欠乏はほぼ解消しました。日常を快適に暮らすのに必要とするあらゆるモノは手に入れられたのに、産業界は相変わらずモノ生産・モノ売りに終始しています。靴・バッグ業界はモノビジネスから、安心ビジネスへの転換を急がなくてはなりません。 
日本の財政破綻の確立はほぼ100%です。それでもなお安倍政権と黒田日銀総裁は、財政赤字を補うため日銀券をじゃぶじゃぶ発行しています。彼等は日本の未来を放棄しています。しかも年金崩壊によって老後の生活は不安で一杯、老後の危機が迫っているのです。


2 産業界を直撃するメガトレンド
① 不安定化
 ITとAI革命はマーケットを限りなく縮小させる革命です。このような時代を現代人は経験したことがありません。ところがマーケット拡大時代の経験豊富な人が、実務を担当しているのが実情で、それが混乱を引き起こし、不安定化を進めています。マーケット縮小時代は、新しい環境に挑む教養人でなければ務まりません。

② 複雑化
 既存技術の延長線上にあった工業社会は過去の経験が役立ちました。しかしITとAI社会の市場環境は連続的に変化します。新しい環境を柔軟に学ぶ姿勢が必要ですが、そのキーワードはハイブリッド感覚。ファッション・エンターティメント・エコロジーを備え持つ文化人が求められます。

③ 短命化
 人の平均寿命は延びているのに、企業寿命は短命化を進めています。倒産企業の平均寿命は23.5年、産業別では最長が製造業の32.9年、最短は金融保険業の16.4年(商工リサーチ2018年調査)で、しかも年々短命化を進めているのです。その要因はIT革命による価格破壊と、AI革命による産業破壊です。


3 全てが逆転する社会構造
① ビジネスは「大型」から「感動」へ
 工業社会の勝者は、モノ売り「大型ビジネス」でした。ところが市場縮小を進めるIT社会はファッション化による感性化を進め、「感性ビジネス」が主流になりました。IところがAI社会は、心に響く「感動ビジネス」が求められます。顧客を共感させ、感激を売る「感動ビジネス」時代が到来するのです。

② 販促は「マス」から「オウンドメディア」へ
工業社会の告知は、広く大衆を対象として新聞・テレビなどの「マスメディア」が、威力を発揮しました。現在のIT社会は顧客ターゲットに向けて、細やかに対応させるネットメディアが主役です。しかしこれから来るAI社会は、個客と感動コミュニケーションを取る、オウンドメディア時代が到来します。

③ AI時代に求められる「芸術性」
 AIによって店舗要員の販売員やレジ係、倉庫要員の入・出荷業務、バイイング業務の受注・発注業務は、AIロボットが代行するようになります。職を失わないようにするには、AIへ代替困難な職種を選ばなければなりません。それは
・ 経営者はお客様の幸福物語を創作するプロデューサー
・ バイヤーはお客様の幸福物語りの筋書きを創るシナリオライター
・ 店長は幸福物語りの劇場化を図る、舞台と演出を設定するディレクター
・ 販売員はお客様と幸福物語りを演じるキャストと言えましょう。
AIに職を奪われないために、スタッフ全員のアーティスト化が求められているのです。


4 企業に求められる「働き方改革」
① 労働者=経営者
 工業社会は「経営者に従属する労働者」でした。社員は会社から雇われる存在で、働く自由と休む自由は認められませんでした。しかしこれからは、「労働者=経営者」の時代が来ます。経営数値を全てオープンにして、社員自ら利益を創造してその儲けを分配する仕組みに変ります。これは働く自由と働きたくない自由、働かない自由を手に入れるでしょう。

② 仕事=私事
 働く自由がない仕事は死事に変ります。「辛い仕事を嫌々ながらする」ので死事化を進め、売上げ不振の最大原因となっています。国税庁の2017年調査では国内269万社の内、黒字企業は僅か37.4%、仕事の辛さが商品・売場・売り方に現れ、お客様の足を遠ざけているからです。社員が嬉々として仕事に励む姿が私事に変え、その姿にお客様の感動を呼び集客源に繋がるのです。
5 「私事」へ変える五つの視点
① 仕事と遊びを区別しない
 仕事が辛いから休みを取って遊びたくなります。週休2日制、有休休暇性を取るのは、仕事が死事化しているからで、休ませなければ突然死しかねません。時間が経つのを忘れるほど、楽しい仕事を目指したいものです。それには仕事場の遊び場化を図ることで、仕事をしながら遊ぶ、遊びながら仕事をする。メーカー・卸・営業マン・販売員・お客様と一緒に遊びましょう。

② ライブに生きる
 IT社会からAI社会へ高度情報社会が進むほど、リアルなライブ感が求められます。社屋や店舗は劇場、ショウルームや売場は舞台、営業マンや販売員はお客様をもてなすキャスト(役者)なのです。リアルはバーチャルなネット空間を超える、アナログ的な演劇空間を演出しなければ生き残れません。

③ 「快楽性」を高める
 仕事の私事化を進めるパラダイムシフターはタイガー・ウッズ、日本初開催のPGAツアーを、楽しみながら歴史的勝利を飾りました。弊社東京オフィスのお客様サロンは、ホームシアター・オ―ディオセンター・カラオケスタジオにして、仕事の「快楽性」を高めています。皆さん弊社にいらして、私とご一緒に遊びませんか。

Ⅱ 現代の経営思考と行動様式
1 好・不況によって異なる経営感覚
① 好況時は文明志向
 好況時は人々の気分が高揚して同質化、アクティブ・スポーツ感覚が拡大します、見せ掛けのアベノミクス効果によって、靴はスニーカー、バッグはナイロンリュックが売れました。低価格商材の量販でチェーン店やGMS売場は好調、靴・バッグ専門店は軒並み売上げ咋対割れに追い込まれました。

② 不況時は文化志向
 これからアベノミクス破綻で不況へ移行して、人々の気分は差異化を進めます。他人と同じファッションでは、埋没して仕事に在りつけないからです。エレガンス・クラシック感覚が台頭して、高品質・高価格の革商材の靴はロングブーツ、バッグは久し振りにハンドバッグの復活が見られるでしょう。2020年秋冬靴・バッグ専門店は、大幅な売上増が期待されます。

2 チャンスを掴む三つ経営革新
① 企業力を極める
 トップの経営理念は心豊にする「文化産業」への転換、幹部の営業政策は「幸福物語」の展開、現場の販売方針は顧客に対する「幸福ドラマ」の継続にあります。企業の最終目的は「顧客満足第一主義」から「顧客幸福第一義」を貫くことです。

② 演出力を極める
 IT社会の到来は売る時代を終焉させ、買う気を失わせました。更にAI社会はお客様へ幸福物語を演じて、欲しがらせる時代です。企業はモノ売り文明型から、幸せドラマ売り演劇文化型への移行を、急がなければなりません。ショウルームや店舗は幸せドラマのテーマパーク、売場は顧客幸福を演出する舞台化するのです。

 ③ 価格力を極める
 商品価格=運勢、商品価格=客層、商品価格=商圏範囲です。高価格品ほど商品運を強くして、企業・店は強い運勢に囲まれて繁盛運を掴みます。高価格品を求めるお客様ほど上客で、教養と知性を備えた文化度が高く、企業と店はお客様の高い文化性に磨かれます。しかも高価格品ほど商圏が広く、遠方からお客様を呼べるので、売上高を増やせるのです。

3 顧客幸福を上げる4つの要素
① 体験を売る
 現場に最も欠けているのは、自ら体験しないモノを売っていることにあります。体験しない商品を売るにはウソが入りますので、お客様が敏感に読み取り避けて通ります。売上不振の原因は、お客様が販売員を信用していないからです。販売員自ら体験すれば、安物の合皮物が日本中溢れることはありません。

② 心動かして売る
 単なるモノの製品が高価格商品へ変るのは、売る人が製品に魂を吹き込む強い想い入れにあります。それは商品企画物語や誕生秘話、ブランド確立物語など、文化性の高い物語です。新製品で未だ物語のない製品は、自ら試して価値ある商品であることを、ツィッター・インスタグラム・ブログなどで紹介して、商品文化の熱気を伝えたいものです。

③ 共感を売る
 工業社会での企業とお客様の関係は、BtoBのビジネス関係でした。それがIT社会はBtoS、企業とサポーターの関係へ変りました。更にAI社会はFtoFへ移行させる時代です。企業とお客様の関係を家族同様へ変えたいもの。AI社会は絆の浅い関係は、ネットに取られて生き残れません。

 ④ オンリー・ワンを売る
 IT・AI社会は情報超過剰時代です。何処にもある、何時でも買える商品は埋没するか、ネットで超低価格で売るしかありません。そこで「ここしかない」「今しか買えない」オンリー・ワンを目指したいもの。希少な商品・サービスほど注目を集めます。技術は検索ツールのトップを目指しましょう。ネット社会でのオンリー・ワン企業は、全世界から注文が入ります。



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