水飼 茂の経営提言 (2017年8月1日掲載)


人の能力は無限大・売上高も無限大




【売上高は無限大】

 人の能力は無限大に伸ばせられますから、売上高や利益高も無限大に増やせます。ただ資源は有限ですから、売上高や利益高も有限です。でもそれはモノを売る、売上高何千兆円の巨大産業であって、売上高何兆円の大企業はもとより、中小企業のように売上高何億円の企業にとっては関係ありません。今回は売上高を幾らでも伸ばせると言うお話



【モノ売り社会は崩壊】

 モノを売ろうとすれば、磨り減るまでは買いません。工業時代はモノ不足社会でしたからモノが売れました。ところがIT時代は、戦争の無い平和な社会です。平和な社会はストックが溢れかえる社会。家の中はモノが溢れ、店やメーカーはモノ売れず、在庫が溢れて、一年中バーゲンを繰り返す価格破壊革命を起こしました。

 更にこれから来るAI時代は人工頭脳社会です。人がロボットに変わって生産・流通・販売を行う、超効率化革命を起こして、モノ・トチ・カネの価値を限りなくゼロに近づける、価格消失社会の到来です。モノ・トチ・カネ欲求を喪失させる、シンプルミニマルな社会へ移行させたのです。



【売るものは幸福】
 安倍政権や日銀による、金融の量的緩和が効かないのは、物の価格と土地の価格が下落する時代に、新たな設備投資をする企業はありません。しかも価格破壊を激しく進める社会は、企業も家計も借金減らしを優先します。資金は行き場を失ってファンドや先物相場へ向かわせ、株価は上昇させますが実態の伴わない株価上昇は長く続きません。

 いまや日本は世界一裕福な国になりました。世界の金融市場を震撼させた、リーマンショック時の救済資金はたかだか70兆円、ユーロが金融破綻に備える支援額も70兆円と言われています。日本もハイパーインフレが起き、国債が紙くず同様になり、国家が破綻すると囁かれていますが、財務省によれば日本の2016年末の対外純資産額は349兆円、個人金融資産は実に1752兆円です。世界の資金供給を一手に引き受けている、世界最大の債権国日本が倒産する前に、欧米の債務国が先に破綻するでしょう。

 裕福になれば人は何を求めるでしょうか。モノ欲求は有限ですが、幸せ欲求は無限です。例えれば東京ディズニーランドとディスニーシー、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンです。料金を上げても来場数は増え続けています。このように考えますと、店はテーマパーク、売場は舞台、販売員はお客様をもてなすキャスト、お客様を幸福物語の主役に見立てた、ドラマタイジング(ドラマ)化を図る時代が到来したのです。



【これからの営業戦略】

 第一に商品のエンターテイメント化です。楽しく無ければ靴ではない。楽しい生活を語れなかったら靴ではない時代です。靴は高機能なのは当たり前、それ以前に楽しさが溢れていなければ、手に取っていただけません。単なるモノは価格破壊と賃金破壊を進め、職を失い生活破壊に見舞われます。エンターテイメント力=企業活動力です

 第二にファッション・トレンド化です。ファッションはお客様の気分をアゲ、免疫力を高め、アンチエイジング効果を強めます。ミセス・シニアのお客様だって、年相応の店には行かず、ギャルを集める店で自分に会う靴を探す時代です。本来は健康第一ですが、エンターテイメントとファッション力が健康を高めるからです。ファッション力=企業生命力です。

 第三に営業の業態化です。靴専業はモノ売りですから、どうしても価格破壊に晒され易い。幸福物語を語るには靴だけでは説得力に欠きます、バッグやレザーウェア・アクセサリー小物などを加え、お客様をヒーロー・ヒロインに仕立てる、幸福物語を演じましょう。
業態化=幸福物語化です。



【言葉マジックを活用する】

言葉とは言霊から変化したもの。言葉には魂が宿る霊的な力を持ちます。言葉通りの現象が起きますので。幸せの言葉を発していると幸せが寄ってきますし、不幸な言葉を言い続けていると不幸に見舞われます。間違っても日ごろ「売れない」と言い続けていると、本当に売上げ不振に陥りますよ。
 
 言葉マジックの活かし方は
・ 先ずはお客様を好きになる。お客様の良い面を見付けてお褒めする
・ お客様の幸せになるストーリーを組み立てる
・ 幸せストーリーの組み立てのため、お客様の生活背景を知る
・ 生活背景を把握する固定客名簿を造る
・ 対話力を磨いてお客様のファン化を図る
の順に進めて行きましょう。



【無限大の売上高に挑戦】

売上高=商品単価×買上数です。数式は掛け算ですから、ほんの少しの努力を続ければ、大きな売上高を上げる効果があります。この二つのうち商品単価は接客力、買上数はお客様の固定客化で決まります。

 商品単価と接客力の関係は                       商品単価
・ 何も知らないスタッフ------------------------------------------------------5,000円
・ ファッション知識とコーディネイト知識を持つスタッフ-------------15,000円
・ フィッティング知識とアジャストメント知識を保有------------------30,000円
・ 正しい接客マナーを備えたスタッフ----------------------------------50,000円


 買上数と固定客化の関係は                          買上数
・ 一見客---------------------------------------------------------------------------------数点
・ 固定客------------------------------------------------------------------------------十数点
・ ファン客 ---------------------------------------------------------------------------無限大


一見客とは、初めて来店されたお客様のこと、固定客とはリビーター客でのことで、販売員にお客様が付くスタイルです。ファン客とは販売員と信頼関係を蓄積して、お得意様が家族・親戚・仲間・団体へ拡がる間柄のことを指します。

 販売員個人年間売上高は、一見客を対象としていたら、年間売5千万円売るのがやっと、固定客化を図るお得意様名簿を造ると年1億円、ファン客を持つと年数億円から、数十億円売上げる人もいます。私の場合は今から53年前、靴店長時代に年6千万円売っていました。今の貨幣価値にして年2億円の売上に相当します。私の指導先にブルネイ・ヤオハン百貨店の外商を務めた人は、年数十億円売っていた弟子がいました。



【世界が憧れる日本の商業文化を売る】

 日本の先端技術は電子や医療だけではありません。エンターテイメントやファッションなど文化面でも世界一です。コミック・アニメ・ゲームなどクール・ジャパンエンターテイメントは世界を凌駕していますし、美容師、ネイリスト、化粧など美容系は、頭の天辺から足の先まで、完璧な美しさで世界を魅了しています。ファッションの世界でも、欧米のデザイナーズ型階級ファッションは凋落、一方日本のストリート型大衆ファッションは、世界のトレンドを牽引しています。

 もう一つの先端技術はおもてなしサービス力です。AI時代は「絆社会」でもあります。AI時代のビジネスは「おもてなしの心」が全てを決しますが、個人主義、身分・階級社会制度を残している欧米諸国や、中国とアジア諸国は顧客サービスの概念が根本的に不足しています。日本人は労働にあまり対価を求めないからです。しかもトップと一般社員の年棒差は欧米の1/10です。日本民族の行儀の良さは、商いの分野だけでなく、政治・経済全てに及ぶでしょう。かつて略奪国家だった欧米諸国はもとより、領土から技術のパクリまで平気で行う中国も、日本のおもてなしサービスは、コピーするのは困難でしょう。



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