水飼 茂の経営提言 (2013年10月4日掲載)


消費増税を逆手に取って業績拡大させる経営戦略 ②

前回は消費増税により、格差社会が生まれることを述べました。これまでの消費税導入&増税の際に見られた傾向を基に、
消費増税に影響を受ける層と受けない層の違いも明らかとなっております。その点を踏まえて、消費増税に向け、どのような対応策をとれば良いかを考えていきましょう。

消費増税時は業績拡大のチャンス~
 折角、消費増税と言う「千載一隅のチャンス」がやって来たのですから、それを業績拡大に繋げなければもったいない話です。業績拡大策のポイントは増税前の駆け込み需要狙いと、増税後に安定成長を狙う戦略です。

 駆け込み需要は高価格品ほど早く始まります。10月から海外カリスマブランド靴とバッグの「増税前のグランドフェア」で、ブランド信仰者を集めましょう。年末は国内有名ブランドの「憧れの国内ブランド・ビッグバザール」、年始はミセス・シルバー対象に革の高額品の「増税前のビッグチャンス・セール」、2月にケミカルの「コンフォート靴市」、3月には生活必需品を集めて「増税前のカウントダウン・売り尽くし」で稼ぎまくります。
 4月に入ってからは、贅沢消費に舵を取ります。ギャルとギャル男向けトレンド品を展開、アダルト・シニアのプチ富裕層向けにラグジュアリーMDを組み、サラリーマン層にバージョンアップ必需品を提案します。つまり、増税前は精神的貧困層と実質的貧困層を狙い打ちして、増税後はMDを精神的富裕層と実質的富裕層へ客層を変え、メリハリを付けるMDでしっかり稼ぎたいものです。


~格差拡大社会に於ける業績拡大戦略~

豊かなビジネスを目指す5原則のご紹介です。

① 格上げMD
ICT時代は価格破壊が際限なく続きますが、所得破壊のスピードより、価格破壊のスピードの方が早いので、経済的余裕が生まれます。中でも耐久消費財の価格はゼロに近付きますし、買う必要もありませんからお金に困りません。そこで「人より頑張った自分へのご褒美消費」が拡大します。マスに埋没したくない層向けに「手の届くレベル」のプチ贅沢商品・サービス消費の提供を考えましょう。

② 絆サービス
格上げ生活をエンジョイするクラブ活動的サービスです。共通のライフスタイルと価値観をもったお客様を対象として、組織化させて店とお客様の関係(BtoC)を、家族と家族の関係(FtoF)に変える、コミュニティの形成です。SNSを使った会員制度が有効でしょう。

③ バージョンアップMD
戦争が起きない限り生活レベルの向上は続きますし、人間の欲望も際限ありません。もっと上の生活を求める気運は永遠に続きます。商品・サービスも同様、ラグジュアリーな経験を段階的に引き上げ慣れさせて、上を目指す商品・サービスの開発を続けましょう。お客様の心を繋ぎ止めるよう、プライスゾーンを広く取りたいものです。

④ 公平サービス
平等時代は平等サービスでした。一律バーゲン、スタンプサービスで事は足りましたが、ICT時代は公平サービス社会です。買上高・買上点数によってサービスのランクアップを図らない限り、顧客離れは防げません。②と併用させてロイヤルカスタマー・サービスシステムを構築致しましょう。

⑤ リセットMD
ICT時代はライフスタイル、ファッションテイスト多様化社会です。しかも自ら演じる劇場化社会でもあります。パーティのヒロインに変身させたり、両家の子女からちょいワル美魔女へリセットさせて、お客様の生活願望や変身願望を満たす、商品・サービスの提案が求められます。店は劇場、お客様は主役、店長はプロデューサー、販売スタッフは脇役を務める時代が到来しました。

~業界人に求められる意識改革~

 このように考えますと、これから商いに対する取り組み方が大きく変わることに気付かれたでしょう。工業社会は効率を上げるデータ分析力が問われましたが、ICT社会に求められるのは、デザインやセンス・アートなど、美的な価値観や好みを増幅させる魅力感です。いま話題のビッグデータなんて何の役にも立ちません。
経済成長の源泉は「勤労と節約」から「恋愛と贅沢」(ドイツの偉大な経済学者ヴェルナー・ゾンバルト)へ変わりました。MD政策は今を楽しくエンジョイする商材と、ちょっと背伸びしたいプチ贅沢商材へのシフトを急がなくてはなりません。

 問題は靴・バッグ業界人の低所得です。ファッション業界人の所得レベルは全業界平均の6.5掛け、その中でも私たちの業界は1割ほど低い。品揃えに1,980円~3,900円の低価格品比率が高いのは、自分たちの所得の延長線上に、商いを見ているからでしょう。世間は想像している以上、私たちの生活よりは豊か、バイヤーや販売スタッフの方たちは、もっと贅沢を経験しなければなりません。
 ICT時代の進展によって、格差社会を拡大させるのは致し方ありません。工業時代は平等社会でしたが、ICT時代は公平社会です。知の有無によって格差は生じます。当然貧困層は拡大しますが、私たちビジネスの対象にはなりません。ボランティアで救済するしか無いのです。豊かになるには豊かなお客様へ近付くしか道はありません。



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