水飼 茂の経営提言 (2013年9月30日掲載)

消費増税を逆手に取って業績拡大させる経営戦略 ①


消費増税で税収増加はウソ~

 日本で初めて消費税3%が導入された1989年は、様々な減税が消費増税を上回り、バブル景気の追い風もあって景況は向上しました。ところがバブル崩壊以降税収は減り続けています。1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた際は、増税=減税なのに景況は悪化、金融危機の深刻化によって、税収減に歯止めが掛かりませんでした。僅か2%の増税なのに失業率は上昇、所定労働時間は低下を続けました。消費税を増税したにも関わらず、法人税、所得税を大きく下げ続け、この15年間一度も1996年度の税収を超えていません。

 ところが今回は減税ナシ、しかも増税+負担増が目白押しです。年金保険料値上げ、住民税上乗せ、復興増税は事実上恒久増税、子供手当て減額、年少扶養手当廃止など、前回の増税時と比べものにならない負担増です。しかも年収はこの14年間で19.6%も減少しました。税収が減り続ける理由はマーケットの縮小です。IT革命によって産業構造が変化して、産業の主役は製造(モノ)業から情報(知)業へ変わりました。高度情報革命は限りなくムダを省く革命ですから、市場縮小によるデフレは避けられません。自民党政権がいくら金をばら撒いても、景気が失速するのは時間の問題です。


~格差社会が拡大する~

 消費増税は国民にとってデメリットそのものです。市場縮小社会での所得増はあり得ませんので、国民は消費を減らすしか凌ぐ道はありません。しかも消費税率は貧困層と富裕層と同率、消費増税は消費財購入比率の多い弱い立場の人だけを直撃します。一方富裕層に取っては3%の増税は痛くも痒くもない。しかもバラ撒いた金の行き先は東南アジアか投機へ向かわせ、国内産業の衰退と失業率を増大させるのは必至です。これから給与(所得)破壊へ拍車を掛けるでしょう。

 いまアベノミクスで浮かれていますが、実体経済が伴わない限り、景気底割れによる深刻化は避けられません。
一部の製造業と建設業は恩恵を受けるものの、製造業は海外へ逃げ出すでしょうし、建設業への公共工事のバラ撒きもそう長くは続きません。少子高齢化社会に新たなインフラを整備する必要は無いからです。だいいち40数兆円しかない税収に、90兆円を超えるムダ使いは許されない。1991年度を超えるバブル崩壊が近いと考えざるを得ません。


~大増税に備える経営戦略~

 マイナス要因をプラスに変えるのが経営戦略です。消費増税を逆手にとって躍進させる手立てを考えて見ましょう。過去の歴史と経験に学べばおのずと道は拓けます。先ずは前回2%増の影響を受けなかった客層と、受けた客層の分析です。影響を全く受けなかった客層は
①消費税以外の負担増が少ないギャルとギャル男
②現役世帯並みの所得と、現役世帯の4倍を超える金融資産をもつ高齢者
③晩婚・非婚のパラサイトシングル族
④自分磨きを欠かさない女性

ハヤイ話、生命力の強い人たちを対象にすれば、業績拡大はカンタンなのです。

 一方、たかだか2%の消費増税に直撃を受けた客層は
①お金持ちなのに心配症を持った精神的貧困層のシルバー女性
②増税、負担増、給与減、子育て 四重苦のサラリーマン層
③仕事と女性に対して自信を失った草食男子

消費に消極的な客層を相手にすると業績失速は避けられません。

 消費税導入後・消費増税後、増やした商材と減らした商材を分析しますと、
①増やした商材は美容・理容商品で、この20年間で10%増
中でも顕著な増加を示したのが美容と健康食品類、反して理容は減少
②当初影響を受けたものの、現在堅調なのはファッション雑貨
かばん類と婦人靴は安定。ファッション性の低い男子靴、履物類は減少
③下げ止まらない耐久消費財
  
 衣料・住宅・家具、中でも婦人服の落ち込みが大きい。婦人服の消費額はバブル時の1/4で、婦人靴業界規模を下回るのは時間の問題増税後の消費状況は大型耐久消費財ほど厳しい。ライフスタイル表現の強い美容財は拡大、消耗性の強い食料は安定、ファッション表現の雑貨商材は下げ止まりの傾向が見られます。トレンド表現は大物の服や家具ではなく、小物の靴・バッグ、インテリアなど、雑貨で表現する時代が来たからでしょう。このように考えますと靴・バッグ業界は、消費増税に強い業界と言えそうです。


~消費増税で拡がる男性不況~

 アベノミクスによる大胆な金融緩和によって製造業の海外移転が早まり、日本男子の職場を減らす一方です。経済産業省による「産業構造ビジョン」によれば、2020年の男性雇用は55.3万人と激減、逆に女性雇用は134.2万人増と予想されます。「一家の大黒柱はニッポン女子」の時代が到来しました。その理由はICT社会によって、成長の見込まれる産業が変化したからです。成長産業は医療・介護・健康のサービス産業と、ファッション・ゲーム・アニメなど文化産業が有望視されています。
日本経済の屋台骨を支えていた巨大産業の自動車・建設・造船の未来は無さそうです。

 それはデータ面にも現れています。男女別の完全失業率では、1997年度に男女が逆転、格差はだんだん拡大しつつありますし、新卒内定率もここ数年、女子が男子を抜きました。女性賃金の男性との格差も縮まる一方で、2020年には同額か上回ると推定されます。その背景にあるのが「感性市場」の到来です。ICT社会に求められるのは、モノではなくココロと絆です。価値観と美意識は「合理的」から「好き・嫌い」に変わりました。文明から文化の時代が到来したのです。



※次回では消費増税への具体的対策をお話しします。




詳細は2013年6月に実施した弊社の
「消費税アップ対策セミナー」のCD版をお聞き下さい

弊社運営「SHOEBAG探偵局」のセミナーCD販売ページへ移動します。



提言一覧にもどる



ページはここまで