水飼 茂の経営提言 (2013年1月7日掲載)

ICT時代に於ける経営戦略


ICT革命はデフレ革命~

 社会構造は産業革命によって大変化をします。農業社会は機械の発明によって工業時代へ移行しまた。90年代はコンピュータと通信の革命によってIT(インフォメーション・テクノロジー)時代が到来しました。情報の公開・情報の大量拡散させる革命です。IT革命は進化を続け、現在はICT(インフォーメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)と呼ばれる情報交流時代と言われています。

 工業社会は情報を持つ国が、情報を持たない国に戦争を起させる時代でした。日本が米国にコテンパンにやられた太平洋戦争が正にそうでした。ところが情報公開を進めたIT時代は、シミュレーション社会でもあります。開戦前にネットで勝敗が分かりますから、最初から負け戦を仕掛けるバカな国はありません。しかもICTは戦争を起した要因が、善悪なのか損得なのかを世界から厳しく問われる、倫理社会を到来させたのです。

 このように考えるとICT時代は戦争を起せさせない、起せない社会であることに気付かれるでしょう。ICTは人類の歴史200万年以来、初めて戦争の無い平和な時代に変える「世紀の革命」なのです。

 インフレは物が不足するときに発生しますが、物不足の最大要因は戦争です。戦争で壊滅的な打撃を受けた敗者側にインフレが発生し、無傷だった勝者側が物の供給源になって大儲けをします。アメリカは建国以来226年間で実に41回、第二次世界大戦以後の57年間で19回の戦争・武力行使を行ったのは、インフレの恩恵が大きかったからでしょう。物不足が起きない平和な世紀は、デフレが永遠に続くのです。


~金融機関が危ない~

 金融の量的緩和が効かないのは、物の価格と土地の価格が下落する社会に、新たな設備投資をする企業がないからです。しかも価格破壊を激しく進める時代は、企業も家計も借金減らしを優先します。資金は行き場を失ってファンドや先物相場へ向かいますが、ICT革命は情報倫理社会ですから、価格操作はすぐバレて元の木阿弥です。

 借り手を失った銀行は、結託して金利を操作したり、デリバティブ(金融派生商品)で稼ぐなど、不正利益を得なければ生き残り困難になりました。三菱東京UFJや農林中金は、LIBOR(ロンドンの銀行間取引金利)での不正行為が発覚、米国地銀から続々提訴されるなど、これから大手銀行の不正は許されない時代が到来するでしょう。

 証券会社も大変。高額配当を宣伝文句にして、デリバティブを盛んに売り込んでいますが、この一年間でファンドの殆どは元本割れで、餌食となった高齢者からの苦情が続出しています。証券各社の営業部隊は会社のノルマと、顧客からの罵声で疲れきっている様子。今の株高でホッとされているようですが、ほんの束の間の現象です。皆さん、くれぐれもダマされないようにして下さい。マイナス金利に向かうデフレ社会に於いては、金融機関は破綻の連鎖から逃れられません。


~これから始まる日本の底力~

 日本バッシングの急先鋒だった、ノーベル賞受賞者のP・クルーグマン教授は、日本の失われた20年は「研鑽の20年だった」と賞賛、今の欧米よりずっとマシ、日本は敗者どころか理想的な経済モデルと報じました。それは日本の底力を認めた結果です。日本の経常黒字はバブル崩壊以降3倍に増やしたにも関わらず、アメリカは△4.76倍に悪化しましたし、いま円安に振れているとはいえ、通貨の優等生スイス・フランより上。先進医療と国民皆保険による世界に誇る長寿社会や、失業率と犯罪率も世界最低レベル、世界は「日本のようになりたい」がトレンドなのです。

 いまや日本は世界一裕福な国になりました。世界の金融市場を震撼させた、リーマンショック時の救済資金はたかだか70兆円、ユーロが金融破綻に備える支援額も70兆円と言われています。日本も危ないハイパーインフレにより、国債が紙くず同様となり国家が破綻する、と囁かれていますが、財務省によれば日本の2011年末の対外純資産額は253兆円、個人金融資産は実に1500兆円弱です。世界の資金供給を一手に引き受けている債権国日本と企業、国民が倒産する前に、欧米の債務国が破綻するのが先でしょう。


~世界が憧れる日本の経営文化を売ろう~

 日本の先端技術は電子や医療だけではありません。エンターテイメントやファッションなど文化面でも世界一です。コミック・アニメ・ゲームなどジャパンエンターテイメント分野は世界を凌駕していますし、美容師、ネイリスト、化粧など美容系は、頭の天辺から足の先まで、完璧な美しさで世界を魅了しています。ファッションの世界でも、欧米のデザイナーズ型階級ファッションは凋落一方、今は日本のストリート型大衆ファッションが、世界のトレンドを牽引しています。

 もう一つの先端技術はおもてなしサービス力です。ICT時代は「絆社会」でもあります。これからのビジネスは「おもてなしの心」が全てを決しますが、個人主義、身分・階級社会制度を残している欧米諸国や、中国とアジア諸国は顧客サービスの概念が徹底的に欠落しています。ところが日本人は労働にあまり対価を求めません。トップと一般社員の年棒差は欧米の1/10です。日本民族のお行儀の良さは、商いの分野だけでなく政治・経済全てに及ぶもの、かつて略奪国家だった欧米諸国や、領土から技術のパクリまで平気で行う中国も、日本のおもてなしサービスだけはコピーできません。


~ギャルと超・精熟シニアが世界経済を浮揚~

 ファッションやライフスタイル・トレンドは、ヒマ・カネ・生命力の強い層から発信されます。その三条件を満たした日本のギャルが「日本経済力の牽引力」を担うと、経済アナリストの森永卓郎さんは語っています。更に「今どき成功する企業はギャルの支持率が高い」と言い切り、ドイツの偉大な経済学者ヴェルナー・ゾンバルトさんの主張、経済成長の源泉は「勤労と節約」から「恋愛と贅沢」へ変わったと言う説を、森永さんは支持をしています。

 一方消費市場では、団塊世代の新世代シニアが主役となりつつあります。60歳以上の消費支出は100兆円を超え、消費全体の44%を占め、年率7%増を続けています。新世代シニアは旧世代シニアと違って消費は美徳と考え、何時までもアクティブでセクシーでありたい世代です。しかも日本の精熟シニアは、世界で飛びぬけたお金持ち。個人金融資産は現在1500兆円弱で世界の15%、現・預金資産に限れば824兆円で、人口2,4倍のアメリカの現・預金資産の1.5倍、人口4倍のユーロの1.2倍に達します。この巨大マーケットを目指して、世界の超一流品とサービスが日本へ集結するでしょう。

 超・感性ギャルの文化性と、超・精熟シニアに磨かれた商品・サービスが世界市場を活性化し、日本で培われたビジネス・モデルが、世界経済の救世主を努めると私は考えています。


靴業界の未来戦略~

 第一に商品の高価格化です。価格破壊を進めれば賃金破壊を進め、職を失い生活破壊に見舞われます。安物は他国や他産業に任せ、高品位サービスによる高価格化を目指しましょう。商品単価高=給与高です。

 第二に営業の業態化です。靴専業はモノ売りですから、どうしても価格破壊に晒され易い。靴専門店はバッグやレザーウェア・レザー小物などを加えた、ライフスタイル化を進めましょう。業態化=高付加価値化です。

 第三にMDのファッション化です。ファッションは気分をアゲ、免疫力を高め、アンチエイジング効果を強めます。客層をお金持ちのリッチ・ギャルと、リッチ・シニアに絞りましょう。ファッション力=企業生命力です。

 第四に企業のドラマタイジング化です。店は劇場、売場は舞台、お客様はヒーロー&ヒロイン、販売員は脇役、バイヤーや店長はシナリオライター、オーナーはプロデューサーを務めます。ドラマタイジング力=業績力です。

 第五に顧客のCHM化です。単なるCS(顧客満足)から、CRM(顧客関係重視経営)へ、更にCHM(カスタマー・ハピネス・マネジメント=顧客幸福経営)化の時代が到来しました。CHM化=固定客化です。


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