水飼 茂の無料経営相談室


 
靴専門店の店主です。このHPで勉強していますが、在庫過多で悩んでいます。商品回転数は年3.5回転弱で資金繰りも苦しい。どうしたら楽な経営が出来るか、繁盛させられるでしょうか。お知恵をお貸し下さい。(2016.7.11)


 資金繰りが厳しいどころか、この商品回転数では赤字倒産は避けられません。適正在庫を守って繁盛店を目指して下さい。適正在庫量を知り、適正在庫の守る方法をお教えしましょう。

先ず在庫の持ち方の意識を変えましょう。売上高を上げるには、売場生産性を高めたり、売場面積を広げることであって、在庫を増やしても一時的に売上高は増えるものの、適正在庫量を越えれば売り切れず、商品の陳腐化による値下げロスで営業利益高を下げ、赤字を続けて倒産に見舞われます。

適正在庫量を知る方法は二つあります。①商品の性格による販売期限(食品での賞味期限)から求める方法と、②適正利益を出すために、どれだけの在庫量に抑えるべきかを把握する方法です。

①商品の性格とは、季節商材のサンダルやブーツで、日にちが経つにつれ季節外れとなり売り難くなります。気温は3度上下するとスタイル・色・素材が変わるからです。特に温度差が激しい4月中旬と9月中旬は投入後30日で売り切り、それ以外の期間は45日で売り切るようにしましょう。

企業は利益を出さなければ存続出来ません。最低利益高を確保した残りで、営業経費高を賄うだけの粗利益高を上げるのが繁盛させる条件です。算式は
値入率-確保すべき営業利益率-営業経費率≒粗利益率です。
粗利益率を大きく狂わせるのが、在庫商品の陳腐化による値下げロス率で、値下げロス率は1日当り0.274%に発生(算式は100%÷365日=0.274%)します。根拠は在庫商品を1年持つと評価はゼロになるからです。

②適正利益を確保するための適正在庫量の算出法は、靴業界平均値の値入率50%、確保すべき営業利益率5%、営業経費率31%の場合、
値入率50%-確保すべき営業利益率5%-営業経費率31%÷1日当りの値下げロス率0.274≒51日、一日平均売上高の51日に相当する在庫量で回せばよいのです。51日分の在庫量は年間商品回転数にして365日÷51日≒7.16回転、年商1億円の店の場合、適正在庫量は1億円÷7.16回転=1397万円(売価換算)、値入率50%の場合、原価約700万円の在庫に抑えれば、営業利益率5%500万円の利益を出せる計算です。お金を残すには、収入から預金分を差し引き、残りで生活費を賄うのと同じ考えです。

適正在庫量を知ったら適正在庫を守る方法です。適正在庫を上回ったら少しずつ適正在庫まで落とすよう努力しましょう。これはメタボの方がダイエットするのと同じ、強い意思力が求められます。長期間掛けて少しずつ落としましょう。急いで落とそうとして絶食すると気力が低下、免疫力を落とすなど、弊害も起きるからです。

在庫を減らす手順は
① ニーズ(生活必需)品は大幅縮小して、極少数の定番品を除いて仕入れカット
② ウォンツ(ファッション)品は拡大するものの、追加発注せず売り切り
③ 先出し先売りを心掛ける

① ニーズ品の値下げロスは少ないし、安心して持てるので在庫は増えます。ムーンスターは欠かせない、アサヒやアキレスも売れ筋があるしなど、どうしてもダブリ勝ちになります。でもニーズ品は需要が減り続けて客数減に陥りますし、売場に華やかさを欠き魅力も失います。これ等は量販店やGMS靴売場に任せたいものです。

② ウォンツ品は食品に例えれば、いまの「旬」で生鮮食品です。パワーがあるだけに鮮度が問題、少し落ちただけで何割引のシールが張られます。ファッション商品は先述の値下げロス率と同様、1日あたり0.274%ずつ鮮度を下げ、100日後には27%値下げしないと売れません。ファッション品は売場投入後、3ヶ月経ったら3割引、半年後には半額処分する根拠がお解かり頂けたでしょう。

③ 先出し先売りをせず、後だし先売りをしていたら、前に出した商品の鮮度はどんどん古くなります。販売期限(賞味期限)があるうちは、先に出した商品から先に売りたいものです。食品スーパーをご覧下さい。手前の商品より奥の商品の方が新しい。もっともお客様も承知で、手前の商品を取らず奥の商品を選んで買っています。

国税庁の平成25年度の調査によれば、小売業の赤字企業比率は74%に達しています。その理由の殆どは在庫過多による商品ロスです。適正在庫量を守るために、月1回の実地棚卸しを行って場合は損益トントン、キチンと利益を出すには週1回の在庫チェックが欠かせません。ダイエットをするのなら、毎日体重を記録しなければ減らせないのは同じですね。


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