水飼 茂の無料経営相談室


 
靴のローカルチェーンを経営している経営者です。現在23店舗で年間16億円の売上げですが、思うように利益が上がりません。どのような原因が考えられますか、お教え下さい。(2018.6.27)


 第一は小型店の多い事です。靴専門店の損益分岐点売上高は、経営形態によって違いますが、生業店4千万円、家業店6千万円、企業店は9千万円です。ご質問のケースは企業店で、23店舗で年商16億円なら1店舗7千万弱で、損益分岐点売上高を1千万円下回っています。1店舗当りの売上高は、多くなればなるほど利益率は拡大します。年商1億円の場合の売上高対経常利益率は1.5%ですが、年商2億円上げると3%、4億円の場合は6%、更に8億円に達すると12%と利益率は加速度的に上昇します。

 そこでこれからは店舗数を増やさず、店舗の大型化を図りましょう。小さな店から大きな店へ集約させることをお勧めします。靴市場が小さくて大型化は難しい場合は、バッグや関連衣料を付加しながら大型化を図ります。ただバッグや衣料を付加しただけでは、既存のバッグチェーン店の東京デリカの「サックスバー」や、大衆衣料の「しまむら」には敵いません。自社の得意とするライフスタイルの延長線上に関連ギアを加えます。

 大型店化を急ぐ背景は顧客の変化にあります。単に靴を求める顧客き、豊な生活を望む顧客へ変化しました。アウトドア靴を買いに来られたお客様は、楽しいアウトドアライフを求められる時代が来ました。しかしアウトドア靴だけでは生活表現するのは困難です。キャンピングを提案するなら、靴だけでなくリュックやウェア、テントなど関連ギァを揃えなければ説得力を欠くでしょう。業種の靴専門店は業態のライフスタイル店の転換が迫られます。ライフスタイル店は関連グッズの付加や、ヴィジュアル表現が不可欠なので、大型化は必須なのです。

 儲からない第二は社員の不正です。人は基本的には善人ですが、悪い事が出来る状態にあれば誰でも悪人に変ります。今の政治家を見ればトランプや安倍首相も、悪事はし放題ではないですか。生業店・家業店の場合は家族経営ですから、社員不正は殆ど起きません。しかし企業店は別、「ウチの店にそんな悪人はいない」と考えているノー天気な店は、社員不正は売上高の10%以上、お客の万引きロスは5%以上発生してしますが、それに気付いていないだけです。チェックは性悪説で立て、社員の働き方は性善説で行うのが、正しいチェーン店の経営管理です。

 社員不正を許さない方法は
① 社内チェックを厳しくするのは、社内不正を暴くためではなく、会社の利益を上げて、給与と賞与を多く配分するために行うもので、社員の計数管理意識を高めるものです。
② 毎日閉店後レジを〆る際、本部スタッフが抜き打ちに検査に入ります。現金過多不足分は毎月の給与から差し引きます。
③ 毎月1回必ず実地棚卸しを行います。その際も本部スタッフが抜き打ち的に立会い、帳簿棚卸高と実地棚卸高との差を算出して、過不足分を毎月の給与から差し引きます。
④ 本部スタッフが抜き打ち的にチェックに入るのは、スタッフの要因不足だからです。
⑤ 過多分まで差し引くのは、僅かに少なくなるのは万引きロスによるものですが、多くなるのは有り得ない。多くなる場合は売り上げてもレジを通さない、問屋に無理を言って伝票なしで納めさせるケースがあります。
⑥ これだけ厳しくすると社員は、閉店後毎日実数を数えて、営業日報の残高と会っているかを確認するようになります。これはお客の万引きロスを大幅に減らす効果があります。
⑦ ①~⑤まで実行すると、社員不正ロスは0%、万引きロスは0.3%に低下、売上高対経常利益率は12%を超え、賞与は半期100万円以上支給できるようになります。
⑧ 万引きロスは、お客が欲がらない商品を並べればゼロになります。品揃えに魅力を持たせれば、多少は発生するのは止むを得ません。その数値の目安が0.3%です。




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