繁盛させる仕組みを創る経営者講座


3.経営理念が問われるIT社会

『社会貢献型』の経営理念を持つ
直近に発表された国税統計によると、250万社の企業のうち70%が欠損法人です。30年前は70%が黒字経営だったのと比べると、企業を取り巻く経営環境は「厳しい」一言につきますが何故でしょうか。それは工業社会からIT社会へ移行して、工業社会の経営ノウハウが通用しなくなったからです。市場が右肩上がりの工業社会は成り行き任せの経営でも通用しましたが、国際化と規制緩和を進めるIT社会は縮小市場社会ですから、経営のあり方を従来と全く変えなければなりません。

ではどうしたら繁栄企業になれるのでしようか。私は経営者が商いに取り組む姿勢、つまり「人生観」や「経営理念」にあると考えます。経営戦略とは何のために店を経営しているかの出発点なのですが、戦略を間違えたら小手先の戦術・戦闘ではとてもカバー出来ないからです。工業社会では経営理念はなくても、頑張りさえすれば何とか伸びられました。大きくなった企業には経営理念はありましたが、それも自企業だけが儲けられればいい顧客第一主義や家族・一族・社員のためといった「利害関係者重視型」の経営理念で充分した。

IT社会と工業社会の根本的に違うのは情報公開社会であることです。工業社会では顧客に対して都合の悪い情報は隠蔽したり、情報操作をしても表には出ませんでした。ところがIT社会は不正を白日のもとに晒される社会です。雪印が破綻し三菱自動車厳しい状態に立たされ、官僚や政治家が矢面に晒されているのは、情報公開社会へ移行したのを彼らは甘く見ていたのでしょう。

これから大企業はもとより小さな店でも、大きな視野に立った「社会貢献型理念」が求められます。企業や店は地域・業界・国家にどう役立つか、地球環境に負担を掛けない商品の開発をどのように進めて売るかが求められるようになります。拡大市場では社会にあまり役立たない企業でも、それなりに生存は可能でしたが、縮小市場では絶望的に生き残れません。社会に害を与える企業はもとより、役立たない企業の存在を社会全体が許さないからです。


 赤字を出すのは恥ずかしい
このように考えると赤字を出す企業も生存困難になります。赤字を出す行為は社会に対する貢献度が低いからです。赤字経営者は「赤字を出すのは恥ずかしい」と考えていないようです。そうでなければ70%の企業が赤字を出し、しかも毎年増え続けているのは理解に苦しみます。創業時は予算に狂いが出て赤字を出すのは止むを得ないとしても、次年度以降延々とに赤字を続けるのは放漫経営としか言いようありません。
以前大手チェーン店の破綻寸前に幹部がお見えになって『どうしたら倒産から避けられるか』と相談を受けたことがありました。私は『社員全員の給料を1/4カットすれば黒字化するでしょう」と申し上げましたが、『それは不可能です』と仰った直後に倒産しました。粗利の範囲内で経費を賄えば即黒字化が可能ですし、一時的に資金ショートしても、黒字ならば銀行は取引先を救済するでしょう。粗利額以上に経費を使う行為は、無能サラリーマンが「生活できないから給料をもっとくれ」と駄々こねるのと同じです。赤字を出す経営者は無能サラリーマン以下の能力ですから、経営者を止めていただかなければなりません。

また、売上げに見合った仕入れをすれば資金ショートもしません。このようにお話すると「仕入れを先行するから、一時的に売上げをオーバーする仕入れはいたし方が無い」と言われますが、夏物の終了時に夏物の仕入れはストップしているわけですから、夏物の売れた範囲内で冬物のブーツ仕入れていれば仕入過多になりません。「先行仕入れをしなければ問屋はブーツを間に合わせてくれない」と言われるのでしたら、日頃問屋さんとの付き合い方(取引姿勢と決済条件)に問題があるとしか言いようがありません。


 IT社会に求められる五つの経営理念
第一は金・物・設備・土地の全ては地球からの「借り物型経営の視点に立ちたいものです。所有型経営から活用・借用型経営へ移行させましょう。過度の所有型経営にこだわったダイエーや国土が行き詰まったのは、IT社会へ移行したからです。IT革命は情報公開革命ですから、限りなく物・設備・土地の価格を下げ続けます。物に対して強欲な人ほど資産価値を減少させ厳しさに晒されるでしょう

第二は環境型経営を目標にしましょう出来るだけ地球に負荷を掛けない自然素材を使う、長く使用に耐える靴・バッグを売る。リペア・リフォームを引き受ける。万一ゴミになる商品を売るのならキチンと回収を心する。これを現実性に欠くと思われて無視するか、真面目に取り組まなければならないと考えるかによって、企業の存続を決めるでしょう。IT社会は環境を無視した企業に未来はありません。

第三は快楽型経営を貫くことです。物の価値が薄くなると人は何に価値観を見出すでしょうか、堺屋太一さんは知価革命だと述べておられましたが、私は「楽価革命」と捉えています。これから他の人を嬉しがらせ他の生物を喜ばせる、壮大なエンターティメント社会が到来します。卸商社は楽しい商品を企画して、メーカー・小売・お客様を感激させ、結果としてビジネスが成立するのがIT社会です。仕事をしている時間を忘れる程「楽しい企業文化」の構築を急ぎましょう。

第四は自立型経営へのシフトです。IT革命は国際化と規制緩和を進める社会ですから厳しい競合に晒されます。これからごく一部の勝ち組と、多くの負け組みの二極分化を進めますが、企業だけでなく国家・行政の破綻も本格化して、頼れるものが無くなります。そこで総資本対自己資本比率50%を目指して無借金経営へ移行させ、銀行にも頼らない骨太の財務体質を築きたいものです。

第五は創造型経営への転換です。IT社会は社員の革新性がもの凄く問われる社会ですから、やってもやらなくても同じ公務員型給与体系では創造力は働きません。やればやっただけのことはある「成果配分型給与体系」へ改め、社員の創造力を全開させたいものです。IT革命はオンリー・ワン革命ですから、何処にもある物やサービスは忘れ去られてしまうからです。


 
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