繁盛させる仕組みを創る経営者講座


2.IT社会に於ける靴業界の方向

IT社会はデフレ社会
工業社会は物の生産・流通・販売の効率化を追及する仕組みで発展を遂げましたが、際限のない物欲・金欲は、国家間による戦争・紛争による殺戮が繰り返され、企業の拡大志向は激しい環境破壊と異常気象を頻発させました。テロや殺人・誘拐など人心の荒廃も招きました。

IT社会は工業社会が極度に進めた環境破壊と人心の荒廃を修復させる社会です。IT革命とはITによる産業革命で、コンピータと通信の発達が国際化と規制緩和を進める情報公開社会です。それにより政治・行政・組織・生産・流通・販売・消費の全ての分野で無駄が表面化し、それを効率化する革命なのです。

例えば政治と行政は公共投資の無駄が表面化して予算が削減されるし、三位一体の改革で地方に対する補助金や交付税がカットされます。経営組織はITによって中間管理職不要にして、リストラはこれからが本番です。生産活動は国際化と国際分業化によって、効率を更に進めるでしょうし、流通はICタグの出現で商品ロスと在庫は激減するのに違いはありません。消費面ではシンプルライフが拡大して、物を持たない生活が一般化します。IT革命は進展すればするほど物は溢れ、人余りを現実のものとするでしょう。

物余りは価格破壊を続け、人余りは給与破壊を続けます。これは際限なくデフレを拡大させるでしょう。仮に一時的に物価は上昇することはあっても、情報が世界中を駆け巡って物不足はすぐに解消されますし、労働人口も世界中で余っています。人手不足は中国→インド→イスラム圏→アフリカ諸国へとシフトされるにつれ給与を下げ続けます。なにしろ世界の労働人口の49.7%は1日200円以下の収入ですし、1日100円以下で暮らしている人は実に19.7%(12月7日ILO発表)に達しているからです。

物の価格破壊と収入破壊は土地の価格破壊を進め、物価は10年後には1/2、20年後には1/4以下に下落します。物の価値が薄くなれば物や土地を持っても意味はありません。物は保有する時代から借用する時代が到来して、人類史上始めて物欲・金欲から解放されるのです。人類の誕生以来200万年間、人のDNAには金・物・土地をより多く保有したい遺伝子が刻み込まれています。IT社会が到来したからと言って、その価値観は急に変わるとは考えられません。金欲・物欲から開放された平和で理想的な社会が到来するには、あと少なくても20年は掛かると思われますが、人間はその間、宗教間と民族間の争いを延々と続けるでしょう。


 IT社会での経営戦略
そんな遠い時代の話でなく「近未来のこと」を教えてと叱られそうですが、経営は長期を見通してから今を考えるゲームです。これを誤ると悲惨な状態に陥るのは、多くの建設・不動産・金融・流通企業が、過度な所有型経営で行き詰まっているのは、もうご承知の通りです。

経営戦略はインフレ社会とデフレ社会とでは根本的に違います。コンピータと通信の産業革命は、物を生産するのではなくムダを省く超効率化革命ですから、IT化が進むにつれムダが排除され、物と土地と人が余り続け価格破壊を進行させます。小泉さんがインフレ化を進めようとして、どんどんお札を発行してもデフレが収まらないのは。ITによる国際化と規制緩和が要因です。日本をどうしてもインフレにさせたければ、ITを止めて鎖国する他に道はありません。

それではIT社会に於ける経営戦略上のポイントを上げて見ましょう。
1. 土地、建物、設備投資は所有せず借用する
2. どうして所有しなければならない場合は全額現金で購入する
3. 設備投資はITを中心に行う
の3点です。

土地・建物は後になればなるほど安くなりますし、設備も後になるほど高性能化と、低価格化が進みます。自社で保有するとコストダウンを進められず、企業体質を弱めてしまうからです。しかも長期借入金に頼っての設備投資は、不動産価格の下落によって担保余力が失われ、財務体質を硬直化させますから、小回りを利かせるIT社会下では、非常に不利だと言えるでしょう。

IT社会での設備投資はeビジネス化を進めるIT装備です。工業社会と違ってIT装備の投資金額はリアル(実店舗)の1/10程度ですから、非常に省投資と言えましょう。靴・バッグ専門店の平均的な設備投資金額は、年商1億円を売り上げるのに6千万円程度の資金が必要ですが、電子靴・バッグ店の設備投資はHP作成費を含めても600万円未満でしょう。しかもメンテナンスコストはリアルの60%程度です。

楽天やライブドアが、僅か創業7年でプロ野球球団を買収するまでの規模になったのは、投資効率の面で電子ビジネスは、リアルビジネスより圧倒的に有利です。リアルはIT装備化を進め、電子商とのメディアミックスを図らなければ、絶対に生き残れないと断言できます。それは総資本対売上高、総資本対経常利益率、交叉比率、粗利益率全ての面で、リアルは電子商と勝負にならないからです。


 流通はI第2ステージに激変する
産業革命は第1期から第3期に分けられます。第1期はメーカーが変わり、第2期に流通が、第3期に消費者が変わります。農業社会から工業社会へ移行した時は、1950年代にメーカーの機械による大量生産化が進み、70年代にはチェーンストアやショッピングセンターよる、流通の大量販売化が進みました。90年代には消費者の大量消費によるバブルを発生させたのは、つい先ごろのことでした。

IT革命による産業革命も同じ道を辿ります。1990年から始まったIT第1ステージは、メーカーの生産効率を飛躍的に高めました。2005年から始まるIT第2ステージの、ブロードバンド&ユビキタス化は流通を激変させるでしょう。これからリアルビジネスの電子商化は一気に進むものと予想されます。既にその兆候は現れ当社の顧問先企業によれば、リアルビジネスの昨対93%に対して、電子商のうちPCネットの伸びは143%、モバイル(携帯電話)ネットは211%に達しています。

現在リアル商の年間小売販売額は130兆円、電子商は7兆円強ですか、10年後にはリアル商は半減して70兆円、電子商は30兆円に達しているものと予想されます。20年後にリアル商は殆ど存在していないでしょう。まだリアルは大丈夫なんだと考えるか、これは大変すぐ電子商化を図るべきと考えるかは、70年代に於ける流通の世代交代から学べば、この5・6年で勝負は決着するものと私は考えています。


 リアル商店の電子商MIX化の手順
IT社会が急速に進むと言っても、当面リアルビジネスは主流です。電子商の中にはリアル店を開店する動きが顕著なのは、リアルビジネスをまだ無視できない存在にあるからでしょう。ただリアルビジネスで効果が急速に落ちているのが、リアル販促のチラシ・新聞広告・カタログ・印刷DM類です。これ等の効果は瞬間的でしかも費用対効果は年々減少する一方で、もう気休めに配布しているとしか考えられません。リアル販促を電子販促に変えて、リアルショップの補強を急ぎたいものです。 

先ずはHP(ホームページ)の立ち上げからです。チラシや新聞広告の役目を果たすのがHPですが、情報量は圧倒的にHPの方が多いですし、HPは見たいときに見られるため効果の持続性もあります。またチラシ・新聞広告の商圏は限定されますが、HPの商圏は全世界に広げられます。しかも一度作れば新しい情報を更新することによって、HPの新鮮さを保つことも可能です。何と言っても最大のメリットはコストの安さでしょう。チラシ・新聞広告の1回~数回分のコストで済みます。HPはリアルショップにとって、顧客に広く告知する販促ツールとして無くてはならないメディアになりました。

次に展開したいのがメールマガジンです。メールマガジンはリアル販促のDMに相当します。配布先を確保するために日頃からメールアドレスを集めておきましょう。集め方は店でお買い上げされたお客様、HPにアクセスされたお客様を対象にします。
メール配信が嫌われる理由は、勝手に送りつける、お客様のウォンツ(欲求)に応えていない内容であること。文体が面白くないの3点にあります。

メール配信を断られないようにするには、アドレスを教えていただいたら直ちに「本日はアドレスをお教えいただきありがとうございました」と御礼メールを配信する。お客様の欲しい情報を流す。「Photoセレブの水飼様にお勧め、まっさらきれいなライカⅢgが入荷!!画像送ります。」
文体はティーンズのファッション雑誌のキャッチ・コピーをヒントにすると楽しくコピーになります。

極めつけはモバイル(携帯電話)による販促です。IT社会はワン・トゥ・ワン(あなただけに)&インタラクティブ(双方向)社会ですから、不特定多数対象・一方通行型の、TV・新聞・ラジオ・チラシ・印刷DM類の宣伝効果は期待できません。そこでモバイルによる特定客対象・双方向型の販促が主流になるでしょう。ポイントカード、誕生日プレゼント、プレミアムサービスなど、モバイルに配信するのです。

モバイルの進化はPCより上にいっています。最先端技術はPCより先にモバイルに導入されるようになりました。長期間画像が送れる燃料電池、フイルム型大画面モニター、パケット料金制の値下げなど、数年後にはモバイルがPCを超えてインターネットの主役になります。ブロードバンド(大容量高速通信)&ユビキタス(何時でも何処でも使える)化が普及する2010年には、モバイルがショッピング・リモコン化しているのは間違いありません。


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