もうけるプロを目指すバイヤー講座


3. 商品ロスはこうして減らす

商品ロスは経常利益額の6~7倍
靴小売業界の商品ロス額は年間1500億円で、年間販売額の約10%に達しています。しかも年々増加の一途を辿り、専門店の経営を圧迫し赤字企業(靴小売店の60%)を拡大させているのです。もし商品ロスを半分に減らせられれば、80%の靴店が黒字化し、販売員一人当たり年間100万円のベースアップが可能になるのです。巨額な商品ロスを少しでも減らして、靴業界を豊かにする方法を全員で考えて見ませんか。

商品ロスで一番多いのが値下げロスで、売上額の8%に上っています。次に多いのが不正(万引きや社員によるネコババ)ロスで売上額の1.5%、残りは汚したりする減耗ロスで0.5%が商品ロスの内訳です。値下げロスは発生している内はまだ良いですが、いずれバーゲンを掛けても売れなくなります。商品を残したら即・廃棄の時代が来るでしょう。


商品ロスの発生要因
商品ロスの発生要因は主として値入れ率と商品回転率にあります。値入れ率の高い方が商品ロスは多く出るし、商品回転率は低い方が商品ロスは多い、この関係を計算式に表すと商品ロス≒値入れ率÷商品回転率に近い値になります。例えば値入れ率が40%、商品回転率が5回転の場合は40÷5で8%が商品ロスになりますが、この数値は決算上の実績値とほぼ同額です。

値入れ率の低い商品ほど商品ロスは低くなりますが、値入れ率は低いほどファッション性は減り生活必需品化しますから、売上高を伸ばすのは困難になります。靴業界はファッション業界ですから、商品ロスを減らすには、在庫を減らして商品回転率を高めるしか方法はありません。


商品回転率を高めるための在庫減らし
1 商品単価別に商品回転率を守る
商品単価は販売期間(お客様にとっては使用期間)です。商品単価は高いほど販売期間は長くなり、低いほど販売期間は短くなります。靴は商品単価一万円の場合6回転(販売期間60日)が基準で、半値ごとに2倍、倍値ごとに1/2になります。つまり商品単価5千円の靴は12回転(販売期間30日)、2万円の靴は3回転(販売期間120日)がベターと考えられます。この数値は高いのが望まれますが、売場生産性が低ければ(年間200万円以下)この数値より低くして、高ければ(年間400万円以上)商品回転率は高められるでしょう。

2 業種から業態化への転換を図る
業種とはモノ(靴)を売る店、業態とは生活(コト)を売る店を指します。モノを売っている店はボリュームを要求されますから、どうしても売場に商品を詰め勝ちになって、1坪当たりの陳列量は売価換算60万円を超えています。ところが生活を売る店は、売場より見せ場(VP、VMD)が中心になりますから、陳列量は減って40万円程度で納まります。これからはモノを売る店はどんどん厳しくなる一方です。お客様が求めるのは靴ではなく、豊かなフットライフへ変わるからです。

3 固定客化を進める
靴専門店だけではありませんが在庫過多に陥るのは、不特定多数のお客様へモノを売っているからです。固定客を持っていれば、仕入れの際あのお客様へはこの靴、このお客様へはあの靴と、お客様の顔を思い浮かべながら発注出来ます。特にスニーカーはお客様の好みが鮮明ですから、発注時に画像付きのメールをお客様へ送信して予約を取ります。納入時に完売するケースが多く見られるようになりました。これからは在庫をど~んと積んで、お客様を待つスタイルは、商品ロスを急増させて営業困難になるでしょう。


商品ロスを防ぐ現場体制作り
1 販売員に難しい商品を売る方法を教える
難しい商品とは、ファッショントレンド品、高額品、売れ足の鈍い商品を指します
バイヤーは販売員をおしゃれに変えなければなりません。ファッショントレンド品を売りこなすには、トレンドの知識だけでなく、ライフスタイルとライフシーンにふさわしい、靴と関連ファッション(ヘア・メイク・服・バッグ・アクセサリー)のトータルな提案力を教えましょう。
高額品(3万円以上)を売りこなすには、インテリジェンスが要求されます。バイヤーは販売員に言葉使い、敬語の使い分け、楽しく豊かな生活経験、エンターティナーなどの教養を教えましょう。バイヤーは生活文化を創造する、プロデューサーでなければ務められない時代が到来しました。

バイヤーは販売員に先出し・先売りを徹底させましょう。販売員は新入荷商品を先に売りがちですか、商品は入荷してから経過するほど売れ足が鈍くなるものです。前に入荷した商品を先に売らせる姿勢が値下げロスを防ぎます。

2 楽歴を積んで会話力を付ける
モノ(靴)を売る時代は製品知識(素材・製法・メンテナンス)だけあれば売 れました。しかし生活(コト)売りの時代は、販売員は楽しい生活経験を積まなければお客様を喜ばせる接客は出来ません。自分が経験しないコトを売るには説得力を欠くからです。バイヤーはファッション、パーティ、アウトドア、プレジャースポーツなど様々な楽歴を積んで、その経験を販売員に伝えます。楽しい会話を交わす表現力を販売員に身に付けさせることが。値下げロス率を低下させます。

3 バイヤーは管理を厳しくさせる
不正ロスは考えたくないロスですが、万引きと現場社員の不正によるものから発生します。いずれも管理がずさんの結果生じるロスで、そのようなスキを与えない事が犯罪者を作らないコツです。そのためには
・商品管理システムは性悪説で組み立てる
・整理整頓を徹底させる
・棚卸を毎月必ず行う
・毎日実数を当たり営業日報の足数と合っているか確認をする
・万引き防止マニュアルを作る
性悪説を採用するのは悲しい事ですが、人は悪い事が出来る環境にあると犯罪に走るのは、昨今の政治家や官僚を見れば納得されるでしょう。


ページはここまで