もうけるプロを目指すバイヤー講座


2.売れ筋と売り筋の創り方

売れ筋と売り筋の違い
売れ筋とはどの店でも売れる商品で、お客様自身が商品を選んでレジまで持ってきていただける商品を指します。一般的には
 1 時代が求めるカリスマブランド
 2 話題性のある旬のアイテム
で接客をありせず売れる商品を指します。1はヴィトンやグッチ等のような著名ブランドで、スポーツがファッショントレンドの際はナイキが該当する時もありました。2は時代の美意識を表現するファッショントレンドアイテムで、現代ではクラシックでエレガントなアイテムに人気が集中しています。

売り筋とは企業の哲学や理念、店の思い入れを商品化したもので、店主・店長の「こだわり」を商品化したものです。売れ筋は普遍的な商品ですから、どこの店でも売れますが、売り筋は「こだわった」店しか売れません。ですから別の店では死に筋になる場合もあります。


売れ筋と売り筋を読み間違えない
売上げを安定させるには、売れ筋を中心として構成しなければなりませんし、個性を求められる専門店やブティックは、売り筋を中心として組み立てなければ、お客様から失望を買います。売れ筋と売り筋のバランスはチェーン店と量販店は8対2、専門店は5対5が適正値であると考えます。

チェーン店や量販店が売り筋を創るため超トレンド商品の開発に失敗したり、専門店がどこにでもある売れ筋を追い求めるのは間違いの元です。専門店が専門性を喪失して、同質化による売上げ不振を進めたのは、売れ筋に頼った結果と言えましょう。

工業社会は「人並み願望」社会ですから、MDは売れ筋発想で間に合いましたが、IT社会は「自分だけの生活」を求める社会ですから、何処にでもある、何時でもある普遍的な商品は、供給過多を招き価格破壊を進め売上げを低迷させます。専門店はもとより、チェーン店・量販店も「企業のこだわりを表現」する売り筋商品の開発が求められる時代が到来しました。

チェーン店や量販店の売り筋商品の開発は、従来の売れ筋+トレンド味付けです。一方専門店の売り筋は時代のトレンド先取り+高品位サービスです。これを間違えないようにして下さいね。


チェーン店・量販店の売り筋商品開発法
1 POSデータから売り筋を見つける
チェーン店・量販店は売上げデータが揃っていますから、データからトレンド商品を見つけます、前に述べたように売上高は数量×単価ですから、トレンドは先ず数量から伸び始め、次に単価アップによって成熟商品(つまり売れ筋商品)化します。開発すれば売り筋商品の開発は可能です。

2 ティーンズの売れ筋をアダルト・シニア向けに変える
商品は生命力が強くなければトレンド商品になり得ません。このように考えますと、人生で一番生命力の強い年代が生命力の強い商品を選びます。ティーンズの好むアイテムを高機能化・高素材化を図れば、アダルト・シニアへ拡大するのは間違いありません。例えばこの夏ティーンズに大ヒットしたミュールを、ソフトな高級革を使って、履きやすいソールとヒール髙に変えれば、秋のシニア向けミュールの売り筋商品に変わります。

3 従来の売れ筋+トレンド・ディテール
今までの売れ筋アイテムにトレンド・ディテールを乗せて売り筋化を図ります。いま大ヒットしているデザインに、トレンドカラー・トレンド素材・トレンドデザイン処理をすることです。例えばこの夏人気のメタリックカラーや、キラキラ素材、太いベルト使いのデザイン処理すれば、秋の新しい売り筋商品の誕生になるでしょう。


専門店の売り筋商品開発法
1 ティーンズのライフスタイルを読む
プラダやグッチのブームを作ったのも、ゲームや携帯の流行をアダルトに広げたのもティーンズです。一昔前のジーニングファッション、パンクやモッズルック、最近のアウトドアブームのスタイリングも皆ティーンズから始まりました。ティーズが異常な興味を示したトレンドはアダルト・シニアに拡大してライフスタイル化して定着するのです。

2 芸能でトレンドを把握する
芸能とは音楽・ドラマ・スポーツなどエンターティメント産業の総称です。好況時のトレンドは、サッカーやNBAからトレンドが生まれ。不況時は音楽・ドラマからトレンドが生まれます。今は不況期なので音楽(Jポップ、R&Bゴスペル、ヒップホップ)や人気ドラマのタレントからトレンドが生まれます。芸能は時代の美意識を表現しなければヒットはしないからです。

3 アパレル業界からトレンドを知る
時代のトレンドは大きな需要がある業界から始まります。ファッション業界では、一番業界規模が大きいのはアパレルで、アパレルで起きている現象を捉えれば、売り筋商品の開発は容易です。洋服のシルエット=木型・ヒールの形状、
洋服の色・素材=靴の色・素材、洋服のテイスト=靴のテイスト、洋服のディテール=靴のディテールを開発すれば良いのです。

4 ネットでトレンドを見抜く
一番手っ取り早く正確に知るのは、お客様に直接聞いてしまうことです。前述の1~3から把握したトレンドを製品化してネット上で公開、お客様からアンケートを取れば、売り筋商品になるかどうかの確認が取れます。ネット上で売り筋商品化が確認出来れば、それをリアル店舗(実店舗)で売れば、売り筋商品の売れ筋化が可能になります。


死に筋を作るのはバイヤーと現場
誰でも死に筋を作ろうとする人もいなければ、死に筋を仕入れるバイヤーは一人もいません。商品の大半が死に筋化するのは、現場の対応のまずさが死に筋のヤマを作ってしまうのです。

バイヤーが死に筋を仕入れる8原則
1 ハズミ筋----------これは面白い、変わっているとばかりにモノのハズミで仕入れるケース
2 無難筋------------間違いなく売れると思った商品は市場に溢れています
3 知らない筋--------ティーンズ商品を年配のバイヤーが仕入れる
4 外れ筋------------自店の客層と会わない商品
5 ダブリ筋----------似たアイテムをあっちこっちからダブって仕入れる
6 付き合い筋--------取引先に懇願され仕方なく付き合った商品
7 委託筋------------いつでも返品OK品に売れ筋はありません
8 ビョーキ筋--------同じ失敗を繰り返す学習能力のないバイヤー現場が死に筋に作る8原則
1 嫌われ筋----------販売員が嫌いな商品は売ろうとしません
2 飽き筋------------販売員が売るのが飽きてしまった商品
3 場違い筋----------商品テイストと販売員のテイストが全く違う商品
4 知らない筋--------売り方が分からない商品。例えばティーンズのHIP HOP商品を、ミセスが売るのは無理があります
5  忘れ筋------------売り切るタイミングを失してしまった商品。ティーンズアイテムに多いケースです
6 憎まれ筋----------慢性過剰商品で売るのが嫌になった商品
7 売らない筋--------販売員自身が売りたくない商品で、特価品に多い
8 汚し筋------------販売員が商品を粗末に扱い、汚したり傷つけたりした商品を指します


死に筋を売れ筋に変えるバイヤーの離れワザ
1 適正在庫を守る
死に筋を作る最大の要因は過剰在庫にあります。適性在庫を守れば死に筋は大幅に減らせることは可能です。靴専門店の場合は売り場面積1坪当たり売価換算50万円が在庫金額の適性値です。50万円より少ないほうが死に筋は減らせますが、35万円を割り込むと売場の商品量が減りすぎて、売場が閑散として商品ボリュームを出せず、売場生産性が悪化して売上げ不振に陥ります。一方1坪あたりの在庫量が70万円を超えますと、死に筋は急速に増えます。売場1坪当たりの適正在庫量は、在庫室の面積も含めます。

2 接客トレーニングをする
死に筋は元々存在しないのですから、売り方のコツを教えれば、販売員は売り切る力を持ち死に筋は大幅に減らせます。接客力を強化するために、バイヤーによる販売員の教育が不可欠です。そのトレーニングの方法は、ロールプレイング(役割演技法)が効果的です。販売員がお客様役バイヤーが販売員役を務め、売り方のストーリーを教える劇を演じるのです。このように考えると売りのプロでなければバイヤーは務まりませんね。

3 VP、VMDの環境整備をする
いくら良い商品を開発しても、お客様の理解が得られなければ売り筋は死に筋に変わります。そのためにはこの商品はこのように使って欲しいと、言う説明が必要です。POP、ショウカード、パネルなどの販促小物を用意しましょう。今はデジカメとパソコンがありますから、バイヤーが簡単に創れるでしょう。

4 チャネルを変える
チャネルには二つあります。一つは業界チャネルの際を外し、靴業界以外で売ることも考えましょう。例えばトレンド商品過ぎる場合は、アパレルルートに持ち込む事が考えられますし、面白い靴ならファッション雑貨へ流す手もあります。第二はメディアチャネルを変える事です。特に個性の強い商品はリアル(実店舗)ではなくネット上の販売が話題を呼び、完売をしたケースもあります。いずれにしてもバイヤーが売れると信じて開発した商品ですから、責任を持って売り切る方法を考えましょう。


死に筋を売れ筋に変えるバイヤーの指導法
1 見せ方を変える
マニッシュテイストに置いた靴をガーリッシュテイストへ移動する、トラッドテイストの売場で動きが悪かったら、クラシックテイストへ配置換えをする。フィールドスポーツカテゴリーにあったスニーカーを、タウンウオーキングとして見せるなど売場の見せ方を変えることによって、売れ筋化するケースがあります。

2 見やすい陳列位置に変える
死に筋の多くはお客様にとって、見ずらい位置に並べてあるケースが多いものです。一番見やすい陳列位置はテーブル什器、ゴンドラエンドや壁面のGL(ゴールデンライン=目線の伊地からやや下の陳列棚)です。そこに動きの鈍かった商品を移動することによって、劇的に売れ筋化する場合があります。

3 固定客を作らせる
個性的な靴や、単品サイズ(22や25)だけになった商品は売り難いので、死に筋化するケースが多くなります。その場合はお客様名簿から該当するお客様を探し出し、画像付きメールや写真付きDMを送付して、お客様へ積極的に売り込みましょう。このように考えますと、固定客を持っていない販売員は、折角の売り筋や売れ筋を、死に筋にしてしまう場合が多いのです。

4 現場を売る気にさせる
売れ足の鈍い靴は担当販売員にPOPやショウカードを作らせる。親しいご近所のアパレルや雑貨の店から、靴のテイストに合うアイテムを借りてきてVPさせる、販売コンクールを開いて売った販売員にご褒美を用意するなど、販売員に売る気を出させれば、どんな難しい商品でも売れ筋化させる事は可能です。 


 
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